一般消費者から仕入を行う場合のインボイス制度
車やバイクを買い取って販売する中古車買取販売業者やリサイクルショップ・質屋、古本屋などの業種は個人(一般消費者)から仕入を行うことが多々あります。
上記のような個人(一般消費者)の適格請求書の発行が事実上不可能な場合、インボイス制度はどのような取扱いになるのでしょうか?
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合
インボイス制度が始まってからは請求書等の交付を受けなければ仕入税額控除が認められませんが、一般消費者からの仕入が多い一定の事業者については請求書の交付を受けることが困難である理由により所定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
帳簿のみの保存で仕入税額控除を認められる取引は以下の通りとなります。
- 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
- 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除きます。)
- 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
- 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
- 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
- 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
- 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
- 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
- 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-13.pdf
帳簿に記載する必要のある一定の事項
また、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる所定の事項は以下の通りとなります。
- 課税仕入れの相手方の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 課税仕入れの支払対価の金額
- 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入に該当する旨
- 仕入れの相手方の住所または所在地
①~④まではこれまで通りの帳簿に必要な記載事項となります。
⑤が先程記載しました、帳簿のみの保存で仕入税額控除を認められる取引の部分にあたります。
⑥は古物営業法、質屋営業法、宅地建物取引業法によって、帳簿などに相手方の氏名および住所を記載しなければならない場合のみ必要となります。
まとめ
このように、一定の事項を記載した帳簿を保存していれば仕入税額控除が認められる例外の措置となります。帳簿のみの保存となりますが、要件を満たさないと仕入税額控除が認められなくなってしまいますので、しっかりと確認をしていきましょう。