【注意点と対策】中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)
中小企業倒産防止共済について、どんな制度かはご存じでしょうか。初めて聞いた!どんな制度かよくわからないという方は、こちらから、制度の仕組みやメリットについてご確認ください。
もちろんメリットだけではなく知っておくべき点、気を付けるべきポイントがあります。今回は、中小企業倒産防止共済の注意点について対策方法とあわせて解説していきます。
注意点と対策
短期間での解約は損をする
メリットとして「掛金を40ヵ月以上納付していれば、解約時に掛金が100%返金されます。」と記載しましたが、短期解約をする場合には下表の支給率に応じて返金されることになるので注意が必要です。
掛金の支払いが難しくなった場合にも、掛金の額を減額して契約を継続することもできるため、すぐに解約をしてしまうのではなく掛金額の増減等も検討するようにしてみましょう。
【解約のパターン】
1.任意 解約:契約者により、任意でいつでもできる解約
2.みなし解約:契約者死亡、会社の解散や事業譲渡などにより解約とみなされる場合の解約
3.機構 解約:中小機構による、契約者のペナルティ(12か月分以上の掛金の滞納、共済金の貸付等に不正行為を行った等)にともなう解約
掛金納付月数 | 1. 任意解約 | 2. みなし解約 | 3. 機構解約 |
1か月~11か月 | 0% | 0% | 0% |
12か月~23か月 | 80% | 85% | 75% |
24か月~29か月 | 85% | 90% | 80% |
30か月~35か月 | 90% | 95% | 85% |
36か月~39か月 | 95% | 100% | 90% |
40か月以上 | 100% | 100% | 95% |
解約返戻金は全額が課税対象になる
掛金を経費計上することにより税金対策として活用できる一方で、実態としては課税の先延ばしをしている状態です。つまり、解約することで解約手当金を受け取ると、その全額が収益とみなされて課税対象になるということです。
そのため会社の状況や業績に応じて、解約のタイミングを判断することが重要です。特に、業績が好調な年度では納税額が大きくなってしまうので対策が必要です。
■業績が不調な年度
積立てている累積金額よりも赤字や欠損繰越があれば、倒産防止共済の解約手当金と相殺することができます。
■業績が好調な年度
役員退職金を支払う年度に積立部分を解約して相殺することで、節税対策につながります。
借入は無利子ではない
メリットのところで「貸付は無担保・低利率」と説明しましたが、無利子ではないことを理解しておきましょう。
連鎖倒産の危機に瀕した際に、最大8,000万円の貸付を受けることができますが、積立金の10分の1が取崩されます。例えば、8,000万円の借入れをした場合、積立金から800万円(=借入額(8,000万円)÷10)が控除されます。
他金融機関と違い、困ったタイミングで、スピーディーに貸付けてくれるという点で、とても便利ではありますが、このような仕組みであることをきちんと理解しておくようにしましょう。